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竹林記者の独りよがりの雑文です。泣き言、反省、得意げ、怒り・・。暇つぶしにも足りませんがよろしかったら・・。
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 京王閣競輪場には新宿から京王線を使う経路で行く。ぼくは大概、うしろのほうの車両に乗る。地下の京王新宿駅を出発した電車は地上に出て、特急なら次に停車するのは明大前という駅だ。電車が停まる、進行方向右側に「山彦」なる店名の古めかしいビリヤード屋が見えた。

 記念の準決勝。

8レースは吉田勇と馬渕紀の自力型同士を買って「できた」と思ったが……。

9レースは初日から買っている芦沢大が3着。

加藤慎が車を内に差した時点で10レースも全滅だった。

さて最終。9レースも10レースも⑤③⑧と同じ目だということには気づいていた。だからまず遊びで⑤③⑧と③⑤⑧を少し買った。去年の準決勝で紫原政は落車再乗して3着という僥倖を得ている。もう一度紫原の3着か? 「山彦」も気になる。一文字もらっているのは「山」崎芳人かあ。

締め切り一分前まで苦吟(車券は詩歌ではありませんが)しながら何枚かのマークシートを塗ったのだが……。

⑤③⑦の車券は手もとに一枚も無かった。当たり車券もない、才能もない!

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 食堂の煮込み定食がぼくの好物だった。

 その日も早々2レースが終わったくらいの時間にその食堂で煮込みを食べていた。

入って来た男はトレンチコートを着ていた。

 男――ライス。

ごはんだけね! と店の女性は注文を厨房に通した。

 出てきた、少し表面に欠けたとこがあるプラスチック製の白いどんぶりに飯が入って。

 男はコートのポケットから大事そうに何かを取り出した。白色の丸っこい物を。何だ?

白い球状の物は卵だった。

 どんぶりの縁で器用に卵を割った。飯に落とし、かき混ぜる。

 男はあっという間に卵ごはんをたいらげて、そのあと満足そうに茶を啜った。

 生卵持参で飯だけ注文する男。

 

その男の斜め前のテーブルに座っていたぼくが、二十数年経った現在、偉そうに、ビルの最上階から京王閣の記念競輪を見ている。

 八王子に住んでいた頃だから、ぼくはまだ二十代だ。

 千円にも満たない小銭しかポケットにないのに、家から京王閣競輪場まで自転車で行ったことがある。電車賃惜しさもあったろうが、要は暇だったのだろう。所要は何時間? 途中の公園で飲んだ水の美味かったこと。

入場料は払ったのだろうか。最終レースかそれに近いレースでもう無料入場になってからの到着だったかもしれない。

枠単の車券を一点買って、レースを見て、外れて、また同じ道を帰った。

八百円しかないやつの八百円の車券は笑われど勝負で、財布に五万円あるのに千円しか買わないやつの車券より尊い。

ぼくにも「いい根性」していた時期があったのだ。

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